2014
出てくるヒロイン揃いも揃ってヒステリック過ぎwwwwwwwwwwwwwwwwwww引いたわwwwwwwwwwwwwwww
各キャラの強い自我、それも各キャラにとってはネガティブ要素になっている方の魅力が延々と光る展開、それがラストまで続くという流れ。
これは本作を遊ぶプレイヤーだけでなく、キャラクター自身も大きな体力を消耗していきます。
雪菜は十日泣き腫らしたとか、主人公は数日の間全くものが食べられなかったとか、彼等の体力が精神的だけでなく、肉体的にも凄く疲弊した事実を描写していて、あれは凄くいいと思いました。
ホワイトアルバム2の個性として、凄く、凄く悩んで、その結果きちんと自分で納得のいく結論を出すという真面目気質なスタンスを取れる、人間として善良な部類に属するキャラがメインを張っているという所があげられます。
しかしそれが負に働くと、その子達の一見ポジティブに見える魅力は、全て性質の悪い善意としか捉えられなくなってしまいます。
特に主人公の春希とメインヒロインの一人である雪菜の気質が、もう一人のメインヒロインであるかずさ含め、他の登場人物全てに影響を与えるレベルで頑固にトチ狂っています。
自分の主張を、絶対曲げず。
人の話を聞かず。
影響を受けても、結論を自身で出すまでは絶対前に進もうとせず。
真面目で二人共いい子だからこその、厄介です。
プレイヤー自身も春希と雪菜の頑固に付き合わされるので、それを面倒に感じてしまうだけで、本作へのストレスを覚えてしまったりするかもしれない、とは思いました。
春希と雪菜の相性は、男女の仲で考えるとすると極悪に等しいです。
これは作中、千晶トゥルールートで雪菜も認めていた事実でした。
ccにおいての春希と雪菜の関係は、最早カップルのそれではありません。
纏う空気は家族の、夫婦のもののように感じまして。
春希にとって雪菜は特別な、唯一の存在である女性だろうけれど、それが恋愛対象としての最上かどうかという問題になった時、推して図れる心の距離というものが冷戦そのものな辺りとか。
恋愛物としては、ここら辺の熱度の調整が非常に面白かったです。
そんな春希が罪悪感を抱かない相手としてカスタマイズされた、千晶のキャラクターっていう彼女の立ち位置も面白かったです。
千晶と言えば、千晶ノーマルルートの春希は逞しい成長を告げた訳では無く、乗り越えた、吹っ切れたとか、あくまでも沈んでいた自分を立ち直させることができたというだけで。
春希の抱える根本の問題(雪菜との問題)は、まだ何も解決されていない状態です。
ただ春希が前向きになれたという点では、まさに千晶の狙い通りであり。
彼は雪菜との関係を今までとは違う視点で考えてくれそうで、このルートにおいての二人の未来にはとても期待を込められる想像をすることができました。
対し小春ルートは、素直に「女の子として一番好きな守ってあげたい子」が春希にできたことで、彼は雪菜との関係に潔く終止符を打ちます。
春希の抱える暗い問題より、小春が起こしてしまった派手な問題がメインとなる、彼女のシナリオ。
恋に現を抜かし、その他の人間関係を蔑にした結果、小春が向き合うことになる現実。
学園という閉鎖的なコミュニティだからこそ、浮き彫りになった小春の状況は恐ろしいくらいに映え、精神的にもきつそうで。
耐える姿もヤケになるも姿捻くれる姿もまとめて痛々しいのですが、それだけの罰を受けるだけのことをしたと、正面から受け止める真面目な性分もまた、小春の魅力でした。
恋に夢中になる小春の姿は、若気の至りと言う盲目で語れば、何とも可愛らしい有様です。
麻里さんルートは、本作のヒロインは本当にヒステリックだらけだなあと、しみじみしながら遊びました。
雪菜のことを伏せられた状態で関係を持つのは彼女だけだったので(しかも体から)、そこら辺には同情を覚えます。
春希よりも年齢が五つ上ということを、麻里さん自身かなり気にしていました。
それ故の必死さとか焦りとかは、悪意的に受け取ると彼女の惨めっぷりが一段と際立ってしまい可哀想なので、可愛らしいひたむきさが溢れた結果がアレなんだと好意的な解釈を持ちたいと思います。
ただ、編集社勤務の方のお給金がどれくらいか分からないこともありますけれど、彼女の派手すぎるお金の使い方や住んでいるお部屋の様を見て、麻里さんの年齢は公表されているものに5歳か6歳かを加算したものの方がイメージに合うのでは、という印象を抱きました。
codaですが、作品内時間で五年が経過したという感覚を忘れてしまうくらいかずさが変わっていなくて、とてもせつなかったです。
ホテルの前でファッション誌の記者と揉めるシーンにて露わになった精神の稚拙さ、低すぎる社交性等、不器用なかずさへの庇護欲がとても沸きました。
鞄とか自分の荷物放っちゃったままテンパる彼女には、非常にはらはらさせられました。
その上で、少し、引きました。
自分の方が雪菜よりも先だったと春希に吐露するシーンとか、かずさの我慢が爆発した幼さが大変可愛かったです。
自分で自分のこと痛い女とか言った上で愚図っているのは面倒臭かったので、少し、引きました。
立場を見た上で、ccまではかずさに対してかなり同情を抱いていましたけれど、その手の贔屓は彼女の有様を見て徐々に薄まっていきました。
放っておけない子という性格付けは、大成功でしょう。
codaかずさルートは、かずさに惹かれる自分を止められない春希が持つ欲の全てを悟った上で、雪菜が彼の婚約を受け入れた瞬間、ああ、これは雪菜もプッツンしたなって思いました。
ccでクリスマスの夜に春希を拒否できた雪菜が、ついに真摯から足を踏み外したという驚きと、諦めと、雪菜の疲弊を感じました。
かずさから春希を奪った雪菜ですけれど、それでも彼女は自分が求めた三人の関係に関してはとても真面目に、邪道を許さない精神で向き合っていました。
だからこそ春希もかずさも、雪菜が間にいたら彼女の欲を優先させてしまい、二人の恋を育めないという袋小路を理解しています。
春希もかずさも、雪菜に勝てません。
雪菜の無邪気さに、逆らえません。
雪菜との絆を断ち切りし、二人の世界築くことを決意してからの春希とかずさの温度差の表現は、非常に好みでした。
元々外部との関わりが殆ど無いかずさは、素直な喜びに満ち溢れます。
対し、企業へ就職もしていて雪菜と婚約関係にあった春希は、まさに四面楚歌状態となり。
糾弾されるシーンでは、武也があそこまで春希贔屓にいてくれたとは思ってもみなかったので、一番の罪悪感を覚えてしまいました。
結局春希はかずさを手に入れた代わりに全てを失い、それはウィーンに立ってから二年経っても癒えないしこりとして残ってしまいます。
雪菜のビデオレターに関しては、それまでのシーンの悲愴さから彼女が亡くなっていたと思ってしまったくらいなのですが、その説は否定されているという噂を耳にしまして、安心致しました。
あと、全然関係無いですけれど雪菜と春希は結婚し、春希の子を妊娠していたかずさはその子供に生涯を捧げるみたいなオチがどこかで来ると覚悟していたのですが、そういうのも無くて安心致しました。
codaかずさノーマルルートですが、ホワイトアルバム2の良さはこのルートに全て詰まっていると言っても過言では無いと思っています。
春希と雪菜が体を重ねている時の声を聴きながら隣の部屋で自慰(涙交じり)をするかずさというシチュや、主人公と体を重ねる際刹那的な言葉を口にしつつも愛されたいという欲を滲ませるかずさのシーンが苦くも扇情的で、良かったです。
codaかずさノーマルルートに関しては、それ以外の一連のシーンも皆見応えがありました。
シーン自体はそこまで長くないのですけれど、心の底から愛し合い、春希もかずさも全力でお互いを貪っているのが凄く伝わってくる情熱的な流れが、素晴らしかったです。
本作がCSに移植されているのは知っているのですが、codaかずさノーマルルートの重みはR18描写があるからこそ成り立つものと感じました。
声優さんがしっかりと感情を込めてくださった、逐一のシーンに意味があると思いました。
codaかずさノーマルルートですと、codaかずさルートと違い、全てを捨ててもかずさと寄り添いたいと決めた春希の精神が、そのストレスでどんどん壊れていくことになります
タフじゃないからこそ春希は傷ついていく一方で、しかしかずさに焦がれる気持ちも膨らむ一方でと、人として成り立っていた春希が死んでいく姿を、かずさはずっと隣で見ていくことになりました。
春希の心は弱いです。
かずさの心も弱いです。
かずさがもっとタフでしたら、傷つく春希を抱き込めるだけの精神力を持ち合わせていたら、かずさは決別を選ばなかったでしょう。
かずさがもっとタフでしたら、そもそも五年前に海外へ逃亡することはなかったでしょう。
春希やかずさの脆さと対極である、鋼の精神を持っていたもう一人のヒロイン、雪菜。
今の春希があるのは雪菜との五年があったからというのを理解したからこそ、かずさは彼から手を引くことができました。
結果、かずさの願いが叶う形で、春希の心は雪菜の隣で癒えていくことにもなっていきます。
かずさと春希の間柄において、雪菜はかずさから春希を奪った悪魔であり、歪みそうになる春希の精神を真人間へ導く天使でもある存在です。
嫉妬に燃えてしまうことに自己嫌悪したり、腹黒いと自分で言ったりもしていますが、雪菜の心はとにかく綺麗で、それこそ生まれや育ちそのままの純粋さが表れていました。
親と問題起こして云々という、精神が歪んでしまう過去を背負っていた春希やかずさとは、雪菜は水と油レベルで住む世界が違います。
見栄は強いし、中学の時に起きた友人関係との亀裂で人間不信にはなりかけていますが、社交性だけなら雪菜のレベルは非常に高いものとして備わっています。
その手のコントロールを雪菜は自分の力で行えるのも、彼女が強い女性だと断言できる理由の一つです。
codaかずさルートでは壊れそうになりながらも、最後の最後で真摯を貫いた雪菜の実直さが素晴らしかったです。
そんな雪菜は春希にとって、ccでも感じた通りcodaでも、恋する相手と呼ぶには近すぎる、家族愛にも似た思いを抱かせる女性のように見えました。
かずさとの再会があっても、大切には変わりない存在でしょうし、愛する心もそのままでしょう。
だからこそ、春希は苦しんでいたのですが。
ccのヒロイン達と本格的な恋路に進めたのも、クリスマス事件の決別があったからこそでしょうし、春希が雪菜に惚れていることだけは、とにもかくにも事実として成り立っています。
自分自身、雪菜はビジュアルが好みの女の子像に完璧当て嵌まりました。
中身に関しても根のタフさとか、傲慢可愛い所とか、凄く好きでした。
icの時の、付属生だった時の雪菜が、好きでした。
cc入ってからの雪菜は、人生に疲れた主婦みたいな影が凄くて、その老けがとても悲しかったです。
語られていない間の数年間で、朽ちてしまった雪菜の天真爛漫さが、せつなかったです。
成長した結果、容姿だけなら可憐な少女が美麗な淑女に…とプラスに働いているのですが。
その残念さも把握されてしまっていたかのように錯覚したのが、cc雪菜ルート後半の、無邪気な彼女が帰って来てくれた流れです。
満ち足りた気持ちになっている春希の姿に、救われた、という感覚をプレイヤーである自分も得ました。
雪菜という悪魔に捕らわれていた春希の元に訪れた救済は、雪菜という天使がもたらしたものに違いありません。
そんな経緯があったからこその、coda雪菜ルート。
春希という恋人が欲しい、かずさという親友が欲しい、そんな根底に深い欲を持つ欲しがり屋さんの雪菜の願いが、このシナリオでは全て叶います。
coda雪菜ルートを遊び、まず思ったのが、結局達観したもの勝ちだったんだなあという感傷でした。
五年前からずっと引きずられてきた三人の駄々のうち、二人が引き下がったから、世界は平和になったのです。
春希はかずさを諦める覚悟を決め、かずさは春希を諦める覚悟を決め。
春希とかずさが、三人でいたいという雪菜の願いを叶えることを前向きに見据えることができたという、雪菜個人の欲を昇華させた結果がこのオチだった、と。
雪菜は既にccの時点で諦めを覚えていた分、やっと彼女の精神レベルに春希とかずさが追いついたというようにも見えました。
最後の最後で報われたので、まあ、雪菜良かったね、とは思います。
ただし、五年間の集体がたったこれだけの結果で、最初からこうすればよかったじゃん丸く収まったじゃんという地味さで言えば、非常にチープな印象です。
最終的な決断として、この最良を下すには利己的過ぎたからこそ、これだけ長い時間がかかったというのも、春希とかずさの個性ということなんでしょうが。
このシナリオのよかった所としましては、雪菜という天使こと真人間矯正マシーンのおかげで、春希が自分の母親と向き合わなければいけない今後が確定となった所でしょうか。
ホワイトアルバム2のシナリオ上、春希の人間性を象るにおいて彼の母親の存在は欠かす事ができません。
その関係が深くは語られてこなかったフラグを、このcoda雪菜EDでは綺麗に回収しました。
かずさとの殻にこもったままの春希では、絶対訪れることの無かった未来です。
これこそが、雪菜の強みです。何度も繰り返しておりますが。
雪菜の正義は、小木曽家で培われた正常過ぎるモラルが起点になっているからこそ、抗えません。
抗う理由が成り立ちません。
偶像と称するには見栄っ張り、女神と崇めるには嫉妬深い。
しかし誰よりも眩しい人間性を持ち合わせた、庶民代表こと小木曽雪菜。
愛しく思えない、訳がありません。
対し、雪菜の弱みこそ、この強すぎる精神面も当てはまるでしょう。
対かずさや、対小春でもそうでしたが、春希の責任感が発生するタイミングは「自分が助けてやらなければその子が孤立してしまう」です。
一人ぼっちになってしまうかもしれない、という境遇にとことん弱いです。
codaかずさルートで依緒が指摘していたりもしますけれど、雪菜にはいつも傍にいてくれる家族がいますし、彼女一人だけになってしまうという不安を春希は抱きにくいでしょう。
人間性だけでなく、環境まで相性が極悪な春希相手に、雪菜はよく戦ったものだと健闘を称えたいです。
最後に。
好きなシナリオはcc小春>cc雪菜>codaかずさノーマル>cc千晶、以下ダンゴって感じでした。
好きなヒロインは、勿論断トツで雪菜です。